MENU

第4話 後編|それでも、青は待っていてくれた。

この記事は「50歳からダイビングに挑戦した体験シリーズ」第4話・後編です。
▶ 第4話中編はこちら

いよいよ沖縄でのダイビングライセンス(OWD)講習2日目。
なんと、慶良間に行っちゃいました。


目次

朝から不安しかない

2日目。集合は7:50。
昨日とは違う、男性インストラクターのNさん。

私は朝からすでに疲労気味。
それでもなんとか準備して車へ。

「お昼持ってきましたか?」

——あ。

ちゃんとは持ってきていない。
「軽食ならあります…」

微妙な空気。

さらに荷物を確認して、青ざめる。

「あ、着替え忘れた。」
「え!?もうボート出ちゃいますよ?」
「だ、大丈夫です。なんとかします。」

(この“なんとかします”の根拠は、どこにもない。)

そして、

「あ…コンタクト片目入れてない…」
「えぇ!?大丈夫ですか?」

最後に、

「今朝、酔い止め飲んだっけ…?」

Nさんの顔が、だんだん不安げになっていく。
その空気、痛いほどわかる。

そんな私に、

「今日は慶良間ですよ。楽しみましょう!」

え?

「慶良間って、本当に慶良間ですか?」
「え、昨日聞いてませんか?」

どうやら本当に慶良間らしい。
私は自分の記憶力を疑った。


ボート、そして公開処刑

乗合ボート。
ショップごとに準備が進む。

私はまるで指示待ちの小学生のようだ。

「ウェットスーツ腰まで着て、セッティングしてください」

よし、準備完了!どや!
と思って待っていたら。

「あの…どこから突っ込めばいいんですか?」

振り返る。

「まず、ウェットスーツ前後逆です。」

……え。

そんな人、初めて見ましたよ、と言われる。

さらに。

「中圧ホースつながってないです。」

昨日習いましたよね?と小さくつぶやく声。

あわわわ。

慶良間の海に入る前に、
私はすでに溺れている。


慶良間の青

いよいよエントリー。
ジャイアントストローク成功。

しかし着水直後、オクトパスがフリーフロー。

「よくあることです」

と言われるが、私は内心パニック寸前。

ロープ沿いに潜降。

そして。

目の前に広がったのは——

青。

昨日とは、まるで違う。
深くて、澄んだ青。

透視度30m。
昨日の2mを、あっという間に塗り替えてくれる。

その瞬間、
さっきまでのドタバタが、少しだけ遠のいた。


トラブル体質、発動

耳抜きは相変わらず苦戦。
でも、昨日よりは早めに対応できている。

「耳が痛い・耳が抜けない」のハンドシグナルもばっちりだ。
(すなわち出来てない。)

しかしそのとき。

足に違和感。

確認すると、ウェイトベルトが外れかけている。

「え!?やばい!」

落とさないように、しっかり握る。

Nさんが戻ってきて、水中で付け直してくれた。

……無事だった。命、だいじに。

「違和感は、無視しない。」

海で学ぶのは、こういうことかもしれない。


合格の瞬間

2本目。

砂地、イソギンチャク、そして——。

「ほら、あそこ」

ニモがいる。とてもかわいい。

集中して見ていると、
Nさんがボードに何か書いている。

そこには、

「OWD 合格」

え?

ニモの前で、まさかの表彰式。

私は水中で思わずお辞儀。
感動で、少し視界が揺れた。

しかしその感動もつかの間、
海から上がると鼻血。

どうやら耳抜きを頑張りすぎたらしい。

最後まで、完璧ではない。

でも、合格は合格なのだ。


そして、ファンダイブ

3本目はファンダイブ。

OWD取得したその瞬間から、
ウェイトをつけ忘れて再エントリーし直すという
安定のうっかり付き。

でも、黒島北はすごかった。

魚の群れ。
ウミガメ。
ネムリブカ。
サーモクラインで変わる水温。

ただただ、きれい。

さっきまであんなに必死だったのに、
今は「楽しい」が勝っている。

私はまだ初心者。

でも、ちゃんとダイバーになったんだ。


旅の終わりに

完璧ではなかった。

ウェットスーツは前後逆。
中圧ホースもつなぎ忘れる。
ウェイトも忘れる。
耳抜きも苦戦して、鼻血まで出した。

大人としてどうなんだ、と思う瞬間も、正直たくさんあった。

それでも。

慶良間の青は、本当に美しかった。

海の中には、年齢も、肩書きも、性別もない。

少し不器用なことも、
普段のストレスも、
全部どうでもよくなる。

ただ呼吸をして、
ゆっくりフィンを動かして、
目の前の景色を見つめる。

それだけで、よかった。

50歳からでも、遅くなかった。
上手くなくても、ちゃんと辿り着ける。

あの日、青い海の中で受け取った「合格」は、
ライセンス以上のものだった気がする。

私はきっと、また潜る。

今度はもう少し、落ち着いて。

そしてできれば、
ウェットスーツは正しい向きで。

(完)

▶ ダイビングライセンス取得にかかった費用はこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

はじめまして。
「ハコニワ」を運営している「うにくらげ」です。


50歳をきっかけに「やりたかったことをやってみよう」と思い、
ダイビングに挑戦しました。

このブログでは、

・ダイビング体験
・大人から始める趣味
・日々の小さな楽しみ

を、ゆっくり綴っています。

同じように
「今からでも遅くないかな」
と思っている方の背中を、そっと押せたら嬉しいです。

海と静かな時間が好きです。

よろしくお願いします。

コメント

コメントする

目次